羯 鼓・切 目(かっこ・きりめ)


羯鼓と切目は一連の舞を形作っている。

「羯鼓太鼓」とは高天原から熊野神社に降りて来た宝物である。
切目の王子に仕える神禰宜が、この宝物の太鼓が良く鳴る所に工夫して据えようと囃子にのってコミカルに舞う。
その動作は、太鼓を頭上に突き出したり、急に後手に引っ込めたり、あるいは左右に振ったりして、とても滑稽な振る舞いをする。
また、時には飛び跳ねたりして動きも激しい舞である。
台詞の中に「・・・余り事難しき大御神にて、高ければ高いとおっしゃる、低ければ低いとおっしゃる、高き低きの真中処に今一度据えかえたく、尚々伶人たち(楽人のこと)御はやしなさるべく候」とあることから、中庸を重んずる精神を神楽化したものと解釈されている。

「切目」は切目の王子と介添えの二人が登場し問答をするが、その内容は五行思想を含んでいる。
台詞の中にある一元神とは、唯一絶対の神であり、宇宙万物の根源神を一元神を言う。
この一元神が五行の理によって五行別像(ごぎょうべつぞう;五つの別の像)として現れるとある。
五行説とは、古来中国で説かれてきた哲理で、天地の間に循環して止まぬ「木・火・土・金・水」の五つ元気を万物組成の元素だとしている。
この五行説が神道に大きく影響を及ぼした。
切目の王子は和歌山県日高郡印南町に鎮座されており、熊野神社の九九王子社の一つである。






松原神楽社中(浜田市三隅町)