神 楽 歌 と 囃 子

神楽歌

 神楽歌は普通、舞歌と呼ばれ、本来、神懸かりになることを目的として囃子とともに歌われる。
歌の形式は五七五七七からなる短歌形式が殆どで、その数は百首を数えるそうである。
 神楽歌は舞の序段と神の喜びの舞の時に奏し、夫々の演目にふさわしい歌が作られている。

 歌い手は主に太鼓役であるが、他の囃子方や時には楽屋の中からも歌われる。
 神楽通になると、演目を知らされなくても最初の神挙げ(神の賛美)の歌を聞いただけで何の演目かが分かるようになる。

 歌詞の内容には「神降ろしの歌」「神挙げの歌」「採物の歌」「四季の歌」などがある。

 近年、口上だけにとどまらず粗雑な神楽歌を耳にする事があります。
目を閉じて、しっとりと歌われる神楽歌に耳を傾けていると、それだけで舞いの情景が浮かび、一緒になって心地良く口ずさんでしまいます。
また、喜舞の段での歌も、歌っていてとても気持ちの良いものです。
 素晴らしい神楽歌の数々・・・これからも大切に大切に受け継がれていく事を願っています。

囃 子

 石見神楽で使用する楽器は「太鼓」、「締太鼓」、「銅拍子」と「笛」の四種類である。

 舞の序段の拍子は舞歌に合わせて静かにゆっくりと囃す。
鬼などの出現が近くなったり、神と鬼との格闘などのクライマックスの段になると拍子が変わり、テンポが速くなる。

 鬼が退散した後、神の喜びの舞になると賑やかに囃し、最後はゆっくりと締めて舞い納めとなる

 囃子の中で全楽器をリードし、中心となるのは太鼓であるが、その功拙によって舞全体の上手下手を印象付けられるほど重要な役であり、センスと熟練を要す楽器である。
 右手に持つ桴を「男桴」、「左手」に持つものを女桴と呼ぶ。

 神楽好きの人間にとっては、囃子の音色を聞くだけで心が踊り、早く神楽を見ようと足早になる。
 唯一メロディーを奏でる笛の音色は、時に神秘的であり、場面場面において畏怖感、想像力を掻きたてる。

 奏法は同じテンポの速い八調子でも、囃子を聞いて受ける印象は地域によって若干異なる。
益田地方は力強くずっしりとした重厚感のある奏法で、浜田、江津地方は軽快で小気味好い奏法である。