岩 戸(いわと)

先ずは岩戸のその始め 隠れし神を出でさんと 八百万の神遊び これぞ神楽の始めなる


天照大御神(あまてらすおおみかみ)の岩戸隠れの神話を神楽化したもので、石見神楽の中で最も神聖視されている演目である。

弟神、須佐之男命の天上における悪業に腹を立てた天照大御神は、ついに天の岩戸の中に隠れてしまい、この為、高天原は常闇となって神々は嘆き憂いていた。

そこで、天の児屋根命(こやねのみこと)は天の太玉命(ふとたまのみこと)と謀り、天の八州川(天の安の河原)に神々を集めて協議の末、岩戸の前で天の宇津女命(うずめのみこと)を賑やかに舞わせたところ、八百万の神は高天原をゆすって笑った。

岩戸に隠れていた天照大御神は、賑やかな外の様子を伺って岩戸の中から覗いたところを力持ちの神、天の手刀男命(たぢからおのみこと)が岩戸を開いて大御神を迎え出し、世の中が再び明るくなったという筋書きである。



津田神楽社中(益田市)


この神楽も鐘馗と並び、私の好きな神楽です。
常闇の中、児屋根と太玉が岩屋へと急ぐ場面、宇津女の艶やかな舞い、手力男の力強い舞い、そして再び世に光が戻り、湧き上がるような喜舞へと続く・・・。

この神楽の歌も良いですね。
「・・・静々拝む天の岩戸を」・・・特に、この一節が好きです。
「夜もすがら」・・・今では死語になっている様ですが、「しっとりとした枯れた味」でこの歌を聴くと何ともうっとりし、思わず一緒になって歌ってしまいます。