五 神(ごじん)

冬来れば青葉の山もなかりけり きのふの時雨けふの初雪 みな白妙に雪は降りつヽ


別名、「五郎王子(ごろうのうじ)」あるいは「五竜王(ごりゅうおう)」ともいい、石見神楽の演目中最大の長編である。
また、この演目は各地に広く分布している神楽でもある。

この神楽の衣装は特に豪華で、また、神楽面は縦横約40〜50cmもの大型面で、ひげは渦巻き形、耳は大きく垂れ下がっているのが特徴である。

国常立王(こくじょうりゅうおう)の第一子から第四子である春青大王(しゅんせいだいおう)、夏赤大王(かせきだいおう)、秋白大王(しゅうはくだいおう)、冬黒大王(とうこくだいおう)たちは何れも四季の中の一季ずつと夫々の方角を所領としていた。
ところが末子である土の神の埴安大王(はにやすだいおう)のみが他の四神から冷遇され、ここに不満を生じていた。

その為、埴安大王は兄の四神たちに領土の要求をしたが拒絶され、これを聞いた埴安大王は激怒して兄たちに合戦を挑み大乱闘になった。
そこへ所務分け(遺産の分配、かたみ分けの意)の翁が現れて神勅を下した。
それは春夏秋冬に各々土用を設け、また領地を東西南北と中央に分け、これを埴安大王に与えるというものであり、この仲裁により五神たちは上手く収まるという内容の神楽である。

五行説その他の哲理に基ずくこの神楽は、五行神の木、火、土、金、水を五神に割り当て、夫々の名乗りと問答形式によって自然の哲理を説明しているが、その問答にこそ重きがある。
つまり、五神の内容は民衆の知識哲学を集成したものであり、陰陽五行説による世界観、暦の説明、倫理道徳の教訓、更には儒教や神道の哲理をも取り入れ、整理された大作であると言える。






丸茂神楽社中(益田市美都町)