恵 比 須(えびす)

国を始めて急ぐには 国に始めて急ぐには 四方こそ静かに釣すなり


出雲の国美保神社の祭神、事代主命(ことしろぬしのみこと)は、大国主命(おおくにぬしのみこと)の第一子で、とても釣り好きの神であった。

国譲りを快く承諾した親子の功績は、天下泰平に大きく寄与したと伝えられている。

この演目は漁業の神、商売繁盛の神として崇拝されている事代主命の神徳を称えた演目で鯛釣りの場は結婚式などの祝いの席でよく舞われている。

恵比須の面は、にこやかな微笑ましい表情をしており、身振り、手振りも面白く愛くるしさを感じ、見る者をほのぼのとさせる舞である。



津田神楽社中(益田市)


恵比須は海の神として良く知られている神である。
「他所の世界の異様なもの」として「海に漂着した見慣れないもの」を「えびす」と呼び、海の神からの贈り物として祀る風習から起こった神であると言われている。
このような恵比須神は日本神話が整えられる中で、事代主命であるとされるようになったが、伊奘諾尊と伊奘冉尊の間の子「蛭子」を恵比須神とする伝えもある。

現代の神楽・恵比須は鯛釣り舞いとして大衆性の色濃い舞いとなっているが、詞章から勘案すると、元々は大国主命と事代主命の神徳を称え、神のお出ましを仰ぐといった舞いであろう。